39歳 三十、九 (韓国ドラマ) 서른、아홉 2022年 JTBC 全16話
第11話視聴率6.417%
hg@さらんさん |
第11話あらすじ
ーロマンについてー
学生時代にカラオケに行くとミジョは決まって「ロマンについて」というトロットを唄った。それは辛い時も楽しい時も嬉しい時も。そして、そんな時いつも決まってミジョのそばにはチャニョンがいて、ジュヒがいて…。
結者解之の為の行動。ミジョは刑務所の面会室で実母であるギョンスクと向かい合い、静かに自分が今の家に引き取られるまでの話を始めた。それまでに2回の離縁に遭ったこと。施設に奉仕に来るミヒョン家族へのあこがれ。そして、願いが叶ったあの日、一生で一番幸せだったこと。そこまで話すとミジョはそれまでの話を他人事のように相槌を入れながら、余裕の笑顔で聞いていたギョンスクに向かって、「イ・ギョンスクさん」と他人のように呼びかける。ギョンスクは表情をこわばらせる。
「私はお母さんだよ、お前は私が産んであげたんだよ。だから、今幸せでお金のあるお前が私の借金を返して当然なんだ。」ギョンスクの一方的な思い込みに「私の大切な人のところにお金の無心をしないで。私の大切な病院に借金取りを送らないで。私の今までの人生の中にあなたはいません。私の両親は今まで育ててくれた養父母だけ。」ミジョはピシリと言い渡してその場を後にする。その心は何か重たくて、彼女を突き放したことに後悔はないけれど…。
ソヌと雨の中を散歩していると何故か落ち着く。ソヌの心遣いがミジョを優しく包み込んで、さっきまでのたまらない感情をそっと癒してくれる。一方で、チャニョンは徐々に症状が重くなり、頻繁に疼痛に襲われるようになる。痛み止めの薬を飲んでは眠るを繰り返し、まんじりとしない夜を過ごすことが多くなる。
チャニョン母はチャニョンが眠っている時に部屋に入り、納骨堂の契約書を見つけてしまう。たまらなくなって外で泣いて帰って来る。やっと眠りから覚めたチャニョンは母が契約書を見たことに気づいて。どうしてそんなことばかり。1分1秒でも時間が惜しい時に死ぬことばかり。治療をせずに死に支度ばかりしているチャニョンにたまらない気持ちをぶつける母。
チャニョンはミジョたちにも契約書を見せる。誰と納骨堂に行ったのかと問われて、ジンソクととは言えなかったし、2人に知っておいてもらえばいいと考えたから。ミジョたちの反応もまた然り。チャニョンは自らの結者解之をしているのだというが…。ミジョとジュヒたちでさえ切ない思いなのに、チャニョン母はいかばかりか。
ミジョはミヒョンの部屋を訪ねて、ギョンスクと決着を着けて来たことを報告する。ミヒョンはミジョがギョンスクをもう訪ねないことを確かめてうなづく。誰よりもミジョが大切なミヒョンだから。一方、チャニョンは写真館で遺影にと証明写真を撮ってもらうが、笑顔で撮れなかったのが気に入らない。
ソヌはミジョ母からの招待を受けるのに先立ち、ミジョ父と会うことにする。ソヌはミジョが自分の父に会った時のこと、父の考えを伝える。父はミジョがソヌの考えとソヌ父の考えの違うことを理解していることにうなづき、2人がソヌ父の考えに振り回されないことを願う。一方、ソウォンはミジョの言葉で重かった心のドアが開き、再びピアノに向かい始める。ついにはソウル市響の面接を受けることに。
チャニョンは父が新しく買った乗用車で親子三人で以前ミジョと行った豆腐店に食事に行く。食事をしながらチャニョンは両親の古い店の改装を提案する。かなり古い内装外観と狭い厨房、冷暖房の効きが悪い室内で時折寝泊まりする両親のことが心配なのだ。両親はそんなことは後でいいと言うのに、思わず「自分には後がない」と言いそうになってさすがに言葉を飲み込むチャニョン。
最近家で横になってばかりのチャニョンを心配したチャニョン母はミジョに連絡する。やはり塞ぎんでばかりいるチャニョンが心配なミジョは思い切ってチャニョンを強引に深夜のドライブに連れ出す。チャニョンは遺影の写真が気に入らないとか、自分が死んだ時のことばかり考えてしまうと話す。
痛みが出た時のつらさ、薬が効かなくなったらどうなってしまうかという恐怖。ミジョはチャニョンとその痛みを分け合えたらいいのに、と話すのにチャニョンは有難さで胸いっぱいに。両親以外にそんなことを思ってくれる友人がいるとは。きっとジュヒもジンソクも同じ思いだ。そのジンソクは突然チャニョンの夫になりたいから婚姻届けを出そうと言い出す。チャニョンはあきれるが、ミジョたちはジンソクの思いに感動する。
チャニョンが両親に何かしてあげたいと思っていることを知ったミジョ。半分脅迫的にチャニョン母に店の改築を了解させる。何よりその間に少しだけでも前向きな気持ちになれるかもしれないから。一方、遺影の話を聞いたジュヒはヒョンジュンからデジカメを借りて来て、植物園に行って写真を撮ろうと言い出す。何事も誠意を尽くすジュヒのおかげで久しぶりに楽しい時間を過ごす3人。
ミジョとソヌは揃ってミジョの実家を訪ねて、両親とミヒョンと昼食を共にする。ソヌのリクエストと言って、大好物を作ってもらった父は本当にご機嫌だ。いずれは結婚をというソヌにさらに上機嫌に。昼酒を所望するも母に却下されてしまう。酒を諦めた父は「ロマンについて」をとうとうと唄い出す。ミジョが父の影響で好きになった曲だと聞いていたソヌ。和やかで幸せなひととき。
チャニョンら、ミジョらカップルとジュヒはチャニョンの両親の店に出向き、改装の見積もりやら物の整理、移動などを始める。母なら捨てるはずのない年代物の厨房用品の整理に嬉々として励むチャニョン。そんな最中、突然ヒョンジュンが訪ねて来る。ヒョンジュンはここまで関わって協力もしてきたのに、仲間外れになった気がして勝手に押しかけて来たのだ。嬉しいやら、有難いやら。
ひとしきりの片づけが済んだ後、6人は夕食を囲む。ふと目に留まったカラオケマシンでのカラオケが始まる。初めは嫌がったジュヒもノリノリで歌に酔いしれ、歌のバトンはミジョへと。定番の「ロマンについて」を唄い進むうちに思い出がめぐり、目頭が熱くなり、声が途切れ途切れに…。
第11話感想
チャニョンの具合が悪くなっています。症状が進んで終焉へのカウントダウンが始まっているのでしょうか。その痛みはどれほどなのでしょうか。薬が効かなくなったらとその時をとても怖がっています。心まで病み気味なチャニョン。回りはどう対応すればいいかわからなくなっています。不安でいっぱいです。
死んだらどこへ行くのか。その時自分は霊魂となり、父母や友達が嘆き悲しんでいるのが見えるのか。息を引き取るときは苦しくないのか。父母は自分がいなくなったら生きて行けるのか。そんな心配ばかりが堂々巡りのチャニョン。とても痛ましいです。
ミジョは実母と心身ともに決別し、ソヌもミヒョンもチャニョンたちもその決意を支えてくれます。こんな友情があったらいいな、本当にそう思います。この中の一人でもかけることがなければ最高なのに。初雪と切ない歌の歌詞がかけがえのない時をさらに色濃く映し出しているようです。
第12話視聴率8.122%
hg@さらんさん |
第12話(最終回)あらすじ
ー三成洞と孝昌洞、そして高尺洞ー
3人の始まりはミジョが実母を探しにジュヒ母の店を訪ねて行ったこと。その後、ミジョはまずは学校帰りのチャニョンにお金を返しに行き、そのまま2人でジュヒ母の店を再訪する。その後、ジュヒを交えてカラオケに行くことに…。
チャニョンの容体が悪化して救急車で病院に運ばれる。付き添った両親やジンソク、駆けつけたミジョらに緊張が走る。痛みに泣き叫んでいたチャニョンは応急処置を受けて、しばらく入院することに。しかし、一旦痛みが治まるとチャニョンは病院にいることに不満を漏らし始める。先輩である主治医から覚悟をしておくように言われたミジョは沈痛な思いを抱く。
チャニョンはミジョたちと散策に出て、病院内にある葬祭場の前を通りかかる。すぐにその場を後にしたが、チャニョンはなぜか気になってしまう。夜眠れずに病室を出たチャニョンは自然に葬祭場に足が向く。自分の葬祭がそこで行われるとしたら…という目線で眺めてみる。
見舞いに来たミジョにチャニョンは訃報リストを手渡す。もしものことがあった時に連絡を頼むと。知人全てに来てほしいとは思わない。こんなリストを渡せるのもミジョを頼りに思っているからだけど、同時に自分がいなくなった時のミジョが心配でならない。ミジョはリストを作ったチャニョンの気持ちを慮ってみても想像しがたくて。ただあるのは、チャニョンをこんなにも慕ってやまない気持ち。
ようやく家に帰ることができたチャニョン。ジンソクとの睦まじい様子を見守っていたチャニョンの両親は2人だけで一緒に過ごさせてやりたいと家に帰ることにする。チャニョンが改装してくれた後の店の部屋で寝んだ両親は娘の心遣いが嬉しくもあり、悲しくもあり、複雑な思いで涙に暮れる。
チャニョンがジンソクとの結婚をあくまで拒否した理由。それは愛の名誉のため。ジンソクが結婚してからも、不倫と言われようと長い間ひたすらに守って来た純愛。それが病気のせいで結婚までしてしまったら、大切な愛が色あせてしまいそうで。ジンソクは残念に思うが、一緒の時間を過ごせることで満足している。
チャニョンは頻繁に病院に搬送されるようになり、ジンソクも気が気ではない。駆けつけたミジョに不安感を吐露する。「チャニョンはまだ逝かないわ。」自分に言い聞かせるように言い続ける。そういうミジョもいつの頃からか、明かりを消して眠れなくなった。もしもの瞬間に間に合わなかったら…その恐怖がそうさせる。
チャニョンの訃報リスト。その人たちはどんな人たち?ミジョの問いに「連絡をもらったら一緒にご飯を食べに行きたい人たち。」と答えたチャニョン。その言葉を反芻したミジョはジュヒとともにあることを企画する。
ジンソクと2人でブランチの訪れたレストラン。そこで、チャニョンは懐かしい顔をみつける。思わず声をかけ、ハグを交わす。ふと、目線を変えるとそこにも友人が。そう思って周囲を見回したチャニョンは驚きで言葉を失う。なんとそのレストランには懐かしい顔ぶれであふれていたから。
懐かしい顔ぶれはみなチャニョンの事情を知って集まり、チャニョンと会えることを喜んだ。チャニョンは感激して会う人ごとに目と目を合わせ、ハグを交わす。そして、万感の思いをこめて人々に挨拶し、自分の人生は皆のおかげで最高だったと感謝の言葉を述べる。
チャニョンは何か思いつくたびにミジョにメッセージを送って来た。「毎年、両親に健康診断を受けさせて。」「誕生日には高いプレゼントを贈って。」自分に付き合って始終お粥を食べるジンソクには「2週に一回はサムギョプサルを食べさせて。」…。無茶なことでも全て受け入れた。昼でも夜中でもどんな連絡でも途絶えないことをただただ願った。
厳しい冬が過ぎて春がやって来た。春まで持たないかと思われたチャニョンはよく耐えて、春を迎えた。しかし、その時は突然やって来た。ミジョは夜中に鳴り響くジンソクからの電話をなかなか取ることができなかった。ガタガタ震えて涙が込み上げる。それが何を意味するか分かっていたから。ジュヒもまた悲報にただただ泣き崩れる。
当日は思ったほど泣かずに一連の儀式を済ませた。その後はいつもの日常を平凡に過ごしている。チャニョンの遺言を守ってチャニョンの両親を気遣ったり、ジンソクにサムギョプサルを食べさせたり。ジュヒはヒョンジュンと恋愛関係になり、ミジョはソヌと結婚をする予定だ。
そうして、日々を過ごしていたある日。チャニョンが出演する映画が封切りになる。公開日当日に見に行って、「いいね⤴」を押す約束だ。ジュヒから誘いを受けたその日、ミジョは用事があると言って行かなかった。本当は用事なんてない。
ジュヒはヒョンジュンと観に行って、生きているチャニョンをスクリーンの中に見て、嬉しくて感激する。もちろん、チャニョンの両親もチャニョンの生きた証を見守り、涙を浮かべる。映画は好評でロングラン上映が決まった。なのに、ミジョはまだ映画館に行くことができない。
ジュヒはミジョが映画を見ることができないのを不思議に思って聞いてみると、ミジョはチャニョンの納棺の際、見守ることができなかったという。亡くなったチャニョンを見ることができなかった。そうして、送ってしまったことがチャニョンに申し訳なく、またチャニョンの死を受け入れることができていなかったのだ。ジュヒはそっとミジョを抱きしめる。
ある日、ミジョに小さな贈り物が届く。中にはリボンを掛けたプレゼントとカードが入っていた。チャニョンからの贈り物。カードに書かれたチャニョンの文字に愛しさがこみ上げ、胸に抱きしめる。それはミジョが心配だったチャニョンがジュヒに託したものだった。
プレゼントを開くと中にはブレスレットとUSBが入っていた。USBにはチャニョンのビデオメッセージが。ビデオの中のチャニョンが言葉を発した途端、とっさに映像を止めてしまうミジョ。呼吸を整え恐る恐る再生ボタンを押す。
〝アンニョン。私だよ。なんて言うか、あんまりにも感謝が大きいと言葉に表現できないみたい。懐かしい人たちに会わせてくれて本当にありがとう。あれで、世界で一番楽しいお葬式になったよ。ミジョ、あなたのことはなぜか心配になるよ。初めて会った時の不安で寂しそうな表情がまだ私の中に深く残っているみたいだ。私もミジョを慕っているよ。会いたい。〟
「私も、私もチャニョンに会いたい。」顔は涙でくちゃくちゃになり、しゃくりあげながら映像を見終わった。映像が止まってチャニョンの笑顔だけが映し出された後もミジョはたくさん泣いて泣いて、ようやくチャニョンの死を受け入れることができたのかもしれない。
〝私たちは思ったよりも元気に過ごしているよ。見えてる?それでも、たまに無性にチャニョンが恋しくなったり、お酒に酔った日にはついあなたの電話を鳴らしてしまう。もしかして、あなたが出てくれるような気がして。私たちはいつまで経ってもあなたがいないことに慣れない気がするよ。チャニョン、会いたいよ…。〟
第12話(最終回)感想
最終回は泣かずに見れないほど悲しかったです。だけど、チャニョンが思い残すことがなく逝けたことはミジョに送った映像からでも確かですね。それだけは本当に良かったです。ジンソクと一緒に純愛を貫いたのも美しかったです。
最終回はほぼチャニョンを中心にした人間関係に焦点が当てられて、ソヌやヒョンジュンといった相手役の出番はほぼありませんでしたが、それはそれでよかったと思います。ただただチャニョンとの別れに浸ることができたので。
チャニョンとミジョの関係、最後に2人が交わす「あなたを慕っている」という表現が表しています。互いが精神的にとても近くて、かけがえのない存在であることを意味します。人と人との結びつきがどれだけ大切かをわからせてくれる素晴らしいドラマでした。
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