私の解放日誌 1話・2話 あらすじと感想

私の解放日誌


私の解放日誌 나의 해방일지 2022年放送 JTBC土日 全16話

hg@さらんさん

第1話視聴率2.941%

第1話あらすじ

ヨム・ミジョン。三兄妹の一番下の妹。京畿道サンポ市から通勤し、ソウルのカード会社で働く契約職。取り立てて美人ではないが、綺麗目だ。しかし、他人の興味を惹きつける個性も話術も持ち合わせておらず、いつも所在なさげにしている。会社では同好会活動を奨励していてしきりに薦められるが、家が遠いことを理由にいつも参加をやんわりと断るのが日常だ。仕事も特にできる方ではなく、上司にひどいダメ出しを受けた時はさすがに凹んでしまうが、そんな時はまだ出会えていない彼女だけを愛する誰かに背中を押してもらう夢を見る。

ヨム・チャンヒ。三兄妹の二番目、長男。コンビニの本社に努めるサラリーマン。無口で黙々と働く父に頭が上がらない。妹たちと同じくソウルに毎日通勤している。最近付き合っていた彼女にフラれてしまった。なんと二股をかけられていたのだ。メールから始まったのはともかく、終わりまでメールで済まそうとは許せないと、直接会ったのはいいものの、結局は田舎暮らしを罵倒された挙句に「我慢できないほどダサい」とまで言われるなんて。結局田舎暮らしの男は門前払いなんだ。せめて車でもあれば。

ヨム・ギジョン。三兄妹の一番上、長女。ソウルに通勤しながら、はずれくじを引かないように慎重に男を選んだが、どの男も結局は田舎の女は本気で相手にする気がないのに、ようやく気づいたというか。昨夜は飲み屋で男やもめの悪口を言っていたら、ミジョンの同僚のシングルファザーに嫌味を言われて気分最悪。朝に夕べに家にいれば、ぶつぶつと不満ばかりが口をつく。母はギジョンが何か言うと二言目には「性根が悪い」って。私だって男がいれば、お金があれば、もう少し性根を良くなるだろうに。こんなじゃなかったら。

三兄妹は遅くなる日は一緒に落ち合って、タクシーに相乗りして帰る。帰る道すがら、互いに言葉はない。単調な毎日なりにストレスはあるし、互いに遠慮も配慮もいらないだけにただ自分の思いにふける時間だ。特に今日のような晩は…。やり場のない虚しさに襲われる晩は…。

寡黙の上に寡黙な父ヨム・ジェホ。多世代住宅用のシンク台を作る仕事をする傍ら農業も営む。食事中に無駄な話をされるのが大嫌いで、今日もチャンヒから車を買いたいと相談されて、眉を吊り上げ首を振る。黙々と仕事をすればいいものを…。その背後には母が絶対的にジェホの側に立ち、兄妹たちを取り締まる。毎日ジェホの手伝いにやって来るク氏もジェホと似たもの同士なのか、家族たちと話したり笑ったりせずにただ黙々と仕事をこなすだけの無害な人だ。

チャンヒを毎日のように訪ねて来る同級生のドファンは合コン相手に懐かない捨て犬扱いされてフラれたことを嘆く。チャンヒは自分よりみじめにフラれたドファンを慰める。誰かが言った。ソウルが卵の黄身なら京畿道は白身だと。せめてソウルに生まれていたら、こんな屈辱は受けずに済んだだろうに。そういう2人に対して、自分はどこにいても変わらない気がするミジョン。

ミジョンはいつものように通勤した朝、入って来たメールに思わず足を止める。それは銀行から返済金が延滞しているという知らせ。友人の為に借りたお金だったが、もっと遅れれば返済の残額1,500万ウォンを月150万ずつ返さなくてはならなくないという。しかも、家に督促状が届くだろうと。督促状?! 両親になんて言えば。友人に連絡をしても既読にならず、心配で悶々としてくる。

ミジョン以外はつくづく何もない日常を虚しく過ごして迎えた週末、三兄妹の家の庭に集まるのは同級生たち。ドファン、中学校の教師をしているジョンフンらを交えて、バーベキューが始まる。狭い田舎の日常にある話題は不満しかない。集まると始まるのはやはり不満を言い合うことだけ。それだけで日々が過ぎていく。

ギジョンは自分がいつの間にか盛りを過ぎたことを感じていた。求愛するコオロギの声を聴きながら、虫たちだって冬が来る前にパートナーを求めて鳴くんだ。人ならなおさらじゃない。ならば、何も変わらないままの今よりも誰でもいいから愛してみよう。回りはいったい何を言い出すんだろう、この女…的な雰囲気。ミジョンは曖昧に笑うだけ。というのも、食事を終えて家に帰っていくク氏を見て何かが頭に浮かんだから。

翌朝、ミジョンはいつものバスに乗ろうとして踵を返して、ク氏の家を訪ねる。家に届く郵便物を両親の目に触れないように受け取ってほしい。そうお願いをするために…。

第1話感想

こちら、とても暗い出だしで始まりまして、しょっぱなから登場人物たちに明るい未来は来るのかがすごく心配になるドラマであります。主人公たちは京畿道という地域に住んでおり、セリフの中にも「ソウル市を黄身としたらまるで卵の白身」というのがありましたが、地図で見るとソウルを中心にした目玉焼きに見えるんです。なるほどね。サンポ市というのは架空の都市名で、水原市の近くという設定だと位置的に該当する地名に軍浦(グンポ)市があります。そこから取ったかな。

3人は契約職云々に関わらずそれぞれ仕事についているので、そんなに落ちこぼれているわけではないでしょう。韓国の大卒就職率が67%程度だというのから見ればですが。それだって本当のところ、10人に一人程度の就職率だという、ちょっと怪しい話があります。地方にはほとんどよい就職口が見つからない都市一極集中型の典型です。やはりドラマは世情を表しているようですね。ちなみに近年の日本の大卒就職率は98%、コロナのせいで内定取り消しなどが乱発した去年でさえ96%とか。

ミジョン役の女優キム・ジウォンさんはアスダル年代記のタニャ役の方です。目が大きくてきれいな女優さんです。アスダル年代記と言えば、最近シーズン2の制作が決まりました。年内にクランクイン予定ですが、シーズン1から3年が経過するということでキャストに変更の可能性があるかもしれません。

第2話視聴率3.018%

第2話あらすじ

ク氏は郵便配達のバイクを待ち受けて、ミジョンの郵便物を受け取る。酒を買ってきたク氏は帰って来たミジョンに気づくと足早に近づいて声を掛ける。うなづくミジョン。縁台で作業をしていた母はその光景に目を丸くして興味を示した。それくらい彼が言葉を発するのは珍しいこと。郵便物の中身を確認したミジョンから再びそれを預けられると、黙って預かる。断る理由もなく、なんの興味もない。他にやることがないだけ。

ギジョンはリサーチ会社のチーム長。帰りがけに男性社員が放ったリップサービスに敏感になる。自己中も甚だしいとチャンヒは一蹴するけれど。だけど、納得がいかないことばかり。明るいうちに会社を出たのに家に着くと夜だということも。会社の浮気男パク・ジヌが再び社内で女を乗り換えたことも。それにしても女たち。パク・ジヌの女遍歴を知らない訳じゃないのになぜ懲りないの。しかも、なぜ自分だけ避けられるのか。女子社員全員が彼にもらったというロトも私だけもらえないのはなぜ?自ら魅力あふれる女性と自認する私にどうして? 考えるのも疲れた。私は別に男と寝たいわけじゃない、ただ会話で癒されたいだけなのに。それが高望みなの?

社員同士の交流に無駄に熱心すぎるミジョンの会社。同好会に加えて、ランダムの組み合わせで食事会を開催する。人見知りの人種にまったく配慮がないというか。今日のメンバーは人付き合いベタな戦略企画室部長パク・ソンミン、もう一人は居酒屋でギジョンが失言したシングルファザーの課長チョ・テフン。加えて、若い女子社員。3人の雰囲気に閉口した女子社員は食後のカフェで離脱する。〝食事の時間くらい好きにさせてほしい。なんで社員全員と交流しなきゃならないんだ。自分の部署だけで十分大変なのに、同好会なんて入るもんか。〟ソンミンの放つ愚痴にはまったく同意しかないミジョンとテフン。

ミジョンたちの同郷の友人ヒョナ。今日はソウルに集まった友人たちとヒョナの誕生日祝い。ヒョナは今はソウルに住み、自由恋愛主義者で好きなことをして豪快で一見自由そうに見える。しかし、自分はうわべだけの女だと本当は自覚している。恋人の心変わりを敏感に察したヒョナはギジョンの恋愛観にケチをつけて荒れる。本当は私だって結婚したいの。私と結婚する気があるの、なんてそんなこといくら何でも聞けないんだ。でも、ヒョナはいつだってミジョンには優しい。

チャンヒはコンビニ各店を回り、便宜を図る担当。車がないだけに足で回るしんどさも伴う。また、その親切心ゆえに店主から公私を問わず相談を持ち掛けられることも。プライベート時間にかかってきた電話に1時間でも話を聞いてやる。彼女にフラれるはずだ。仕事中のコンビニに元カノが入って来ても黙っても送る。同期は次回内勤になれなければ諦めると言い、きっと大丈夫だと自分に言い聞かせるようにつぶやく。妹たちの前では強気だが、雨の中歩いて店舗を巡る後姿にはどことなく哀愁が満ちている。

ある日、ク氏は酒を飲んでどこかにぶつかったようだ。ミジョン母が気づいて、ジェホが病院に連れて行ったが、特に問題はなかったようだ。仕事が一日空いた日。やることがなければ、酒をただただ飲むだけしかない酒浸りの素性も知れない男。大騒ぎの後に再び酒を買ってくるク氏にチャンヒも思わず舌を巻く。死ぬほどの事件はこの場所では起きないとは思うけど。

「借金を立て替えた」と友人チャニョクにメッセージを送るミジョン。いつまで経っても既読にならない。聞くところによると、チャニョクは事業をするとお金を借りまくってブラックリストに載り、今はタイにいるらしいと。しかも、元カノが彼を呼び寄せたとも。「彼と付き合ってたの?」と問われた言葉に、「まさか」と返しつつも目の前が暗くなるミジョン。一方で、女子社員の間で海外旅行に行く計画があるのを知る。どうせお金がなくて行けやしないけど、親しくしていたつもりの同僚から誘われもしないという疎外感と屈辱感。そして、またしても上司のダメ出しに加え、同好会の無理強いに涙が出る。もうつら過ぎる…。

次の晩、またしても酒を飲んでいるク氏。お酒のほかにやることがないク氏に向かい「私をあがめて。」と言い放つミジョン。もうすぐそうやって座っていても見るものなんかない冬が来る。仕事もないのに見るものもないのに、ただそうやって酒を飲んでいたら虚しいだけ。私も同じ。誰にも必要とされないし、会う人間はみな人でなしばかり。愛なんかじゃ足りない。私をあがめてよ。ク氏は意味が分からず、あんぐりとミジョンの顔を見上げて…。

第2話感想

社会生活を送るにはそれなりに忍耐が必要ですが、それにしても登場人物の全ての事情が苦悩にあふれています。明るくほのぼのとした愛のおかげで苦労を克服するドラマは多々あれど、これほど悲壮感にあふれるドラマも珍しいでしょうか。現実ってこんな感じだとは思うのですが、それで終わるとこのドラマが何を言いたいのかわからなくなります。何か明るい兆しがあればいいのに。

三兄妹には地元の友人ドファンとジョンフン。そして、今はソウルにいるヒョナ。彼らの言葉遣いから見るに、全員チャンヒの同級生のよう。ドファンは地元のサッカーコーチ兼売れないカフェのオーナー。割と素直ないい男ですが、いまいち垢抜けない。ジョンフンは地元で教師をしていて、何かとギジョンに突っかかる嫌味な男。ヒョナはフリーセックス主義者なんだそうです。

正体の知れない酒浸りのク氏は一年間の家賃を前払いで今の家に住んでいて、仕事がなくてもしょっちゅうお酒を買ってこれるところを見るとお金に困っていることはなさそうです。しかし、そんな謎のク氏に向かって、自分をあがめてほしいと言い出したミジョン。「あがめる」…とは高く敬う、尊敬する、仰ぐという意味。なんだかすごい言葉が飛び出してきました。いろんな出来事が積もり積もって今までおとなしかったミジョンの中の何かが壊れたというか、弾けたせいでやっと物語が動き出しました。乞うご期待です。

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